楽しみにしてたデヴィッド・バーンの映画『アメリカン・ユートピア』が今月やっと映画館で封切られ、2回も観てしまいました。
ちなみに、緊急事態宣言のなかで映画館はガラガラ。気の毒ですが観る方は快適でありがたいです・・
デヴィッド・バーンは70年代にニューウェイブ・ロックでデビュー、その後、中南米音楽にも傾倒して自身の音楽に取り入れていきました。ちょうど私がブラジル音楽を聴くようになった90年代の初め、サンバやフォホーなどのルーツミュージックを紹介するCDを制作したり、カエターノやマリーザ・モンチとも共演していました。
そんなマルチさや、いかにもスノッブ好きするような彼のスタイリッシュな雰囲気について、当時の私は少しばかり警戒心を抱いていました。ところが時が流れた今、このショーに登場する彼はぐんとハードルを下げて親しみやすく、大きな包容力を身に着けたオジさんに進化しています。
バンドの衣装は全員がグレーのスーツで靴はなく裸足。コンクリートのような青みがかった薄いグレーで、これがやたらと目に心地良い。バーンのインタビューによると、グレーは「照明から外れると消え、照明が当たると飛び出る」色だとして衣裳デザインの方が勧めたんだそうです。裸足なので短足にみえて可愛い。引きのカットだと人形劇みたいにも見える。
ケーブルを無くした舞台で自由になったバーンは肩の力を抜いて、両手をぶらぶらさせて歌うのですが、リラックスした態勢から豊かに発声する様は晩年のデヴィッド・ボウイにも少し似ています。時折持つギターのリフも澄んだ良い音。
てらいなく実力を発揮する姿を見て、彼の今の境地が実りあるものだということを思い、「私も変化しなければ」というトーク中の言葉が心に残りました。
映画タイトルから分かるようにこのショーには社会へのメッセージも含まれていますが、ローリングストーン誌のwebインタビューでは人間をむしばむ"毒"についてとてもいいことを言ってますよ。
デイヴィッド・バーンが語る『アメリカン・ユートピア』、トーキング・ヘッズと人生哲学
- 現代社会の闇、政治と人種問題について -
https://rollingstonejapan.com/articles/detail/35937/3/1/1
コロナ下のもやもやを晴らしてくれる映画でした、おかげですっきり爽快な6月を送っています!
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